株式会社レスキューナウ
株式会社レスキューナウは、災害・事故・交通・ライフライン障害などの緊急情報を24時間体制で収集・分析し、企業や自治体に配信する危機管理情報サービスのリーディングカンパニーである。
自社の危機管理情報センターを中核に、BCP支援、安否確認、被災状況の可視化など、リスク対応を支援するソリューションを展開している。
現場は常に動いています。だから“止めずに強くする”仕組みが必要だったんです。
防災・危機管理情報のリーディングカンパニー、Rescuenowが選んだ「止めないセキュリティ」──SingleID導入の裏側
導入前の課題:便利なVPNが“手作業地獄”に
Rescuenowでは、ヤマハ製ルーターのVPN標準機能を長年利用してきた。安定して動作していた一方で、ユーザー増加に伴い「人が操作しないと回らない」運用構造に限界が見え始めた。
ルーター上でしか設定変更ができないため、ユーザーがパスワードを自分で変えることもできない。
結局、管理者がすべて手動で対応しなければならず、運用工数がどんどん膨らみました。
VPNの単一要素認証によるセキュリティリスクも課題として浮上し、「守るための仕組み」を見直すタイミングを迎えていた。
検討段階:4つの選択肢を冷静に比較
同社は導入検討に際し、4つの選択肢を徹底的に比較した。既存インフラとの整合性、運用負荷、将来拡張性を総合的に評価した結果、ヤマハルーターとの高い親和性を持ち、既存環境を損なうことなく導入できるSingleIDを最も合理的な選択肢と位置付けた。
導入オプション比較
技術的には可能だが、保守運用は専門性が高く、非エンジニア主体の現場では負担が大きい。
除外理想的だが、既存VPNや業務アプリとの整合性・移行設計が未整備のため先行タスクが多い。
時期尚早単価が高く、中小規模ではROIが合いづらい。要件も過剰になりがち。
非現実的費用対効果は高いが、ヤマハRTXとの親和性や将来のクラウド連携を考えると優先度は低い。
見送り現場を止めず、確実に強くできる選択肢としてSingleIDが最も現実的でした。
導入の決め手:「既存を壊さず、強化できる」
導入の決め手は、「既存を壊さず、強化できる」点にあった。Rescuenowでは、システム刷新にあたり“既存資産を活かして堅牢性を高める”という方針を掲げており、SingleIDの設計思想がその考えと合致した。検証段階では構成のシンプルさと動作の安定性が確認され、想定を上回るスムーズな導入が実現した。
また、Intuneとの連携により証明書を自動配付できる点も高く評価された。これにより、ユーザーごとの設定作業を最小化し、管理工数の削減と運用の一貫性を確保。既存の端末管理基盤を活かしながら、セキュリティと利便性の両立を実現した。
コスト面でもアプライアンス機器の導入と同等、もしくはそれ以下に抑えられ、将来的な拠点展開を見据えると運用コストの削減にもつながると判断された。
構成がシンプルで動作が安定──これが決め手でした。運用も簡素化し、拠点展開時のコスト見通しも立てやすくなりました。
現場の工夫:誰もが使える、“迷わないマニュアル”
導入後、Rescuenowでは「社員が迷わず設定できる環境づくり」を目的に、情報システム部が自社マニュアルを全面的に刷新した。画面キャプチャや図解を多用し、操作手順を直感的に理解できる“現場ドキュメント”として再構成。VPNやPC操作に不慣れな社員でも、自力で設定を完了できる内容とした。
さらに、パスワードポリシーの厳格化や運用ルールの明確化を進め、ITリテラシーの差があっても安全に利用できる体制を確立。現場の実態に即した運用改善が行われた。
社内ナレッジ基盤としてNotionを活用し、VPN接続手順(SingleID連携版)を全社員向けに公開。
図解と画面キャプチャを交えた手順書により、設定作業の標準化と属人化防止を実現している。
VPNやPC操作に慣れていない社員もいるので、図解入りで分かりやすく作りました。問い合わせは想定よりもかなり少なかったですね。
導入効果:「人が守る」から「仕組みで守る」へ
導入効果はすぐに現れた。認証ログが可視化され、「誰が・いつ・どこから」接続したかが明確になり、トラブル対応の迅速化やISMS資料の作成効率向上につながった。
ユーザー側の体感はほぼ変わらない一方で、管理部門の負荷は大幅に軽減されたという。
以前は“人が頑張る運用”でしたが、今は“仕組みで守る運用”に変わりました。
| 項目 | Before(導入前) | After(導入後) |
|---|---|---|
| パスワード管理 | 管理者が全手動で運用 | ユーザー主導+仕組みによる自動化 |
| 拠点追加 | 各拠点を個別登録 | SingleID による一元管理 |
| セキュリティ強度 | 単一要素認証 | 多要素認証+ログ可視化による強化 |
今後の展望:ゼロトラストへの段階的移行へ
現在は東京拠点での導入からスタートしており、今後は大阪拠点への展開を予定している。並行して、Entra IDやIntuneによるID/端末管理も進めており、将来的にはゼロトラスト環境への移行を視野に入れている。
セキュリティは守るだけではなく、“止めないための仕組み”へ。
田阪部長は、そうした新しい基準づくりを見据えている。
導入効果:田阪部長から、同様の課題を持つ企業の皆様へ
ヤマハルーターを利用し、VPNの管理負荷やセキュリティ強化に課題を抱える企業にとって、SingleIDは非常に現実的な選択肢です。
既存の機器をそのまま活かしながらセキュリティを高められ、導入も早く、運用もシンプルにできます。
“変えすぎずに、確実に強くする”──まさにその言葉どおりの解決策だと感じています。
既存を壊さず、確実に強くする。 その選択が、Rescuenowの次の安全基盤をつくり出した。
編集後記
理想を追うのではなく、現場の“いま”を見据えて最適解を選び取ったRescuenow。その判断の軸にあったのは、技術ではなく「止めない現場」を支えるという使命感だった。
災害や障害の最前線に立つ同社にとって、システム停止は許されない。
だからこそ、“動かしている現場を止めない”という視点が、次の時代のセキュリティ基準を形づくっている。
SingleIDは、その挑戦に対して一つの確かな答えを示している。




